なぞる

なんか書いたやつ

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

tankaと短歌のあいだ

" data-en-clipboard="true"> 最近英語でエッセイを適当に書く遊びをしている。主題は本当にバラバラで、政治的なものごとからショートショートのようなものまで書いては、Mediumという英語圏のブログみたいなものに投稿している。自分が文学的なものごとで…

読みが外れた、黄泉の国

バドミントンをしていたら、思っていたショットが来なかったのだろうか、後輩が、「読みが外れた、黄泉の国」と言った。ぼくは笑った。たった二文字の、意味のないだじゃれが、うまくないと思ったのだ。 普段ぼくは「読み」と「黄泉」を全く異なる単語として…

『ロリータ』感想:サーブの小宇宙

我がロリータには、ゆったりと弾みをつけてサーブを開始するとき、曲げた左膝を上げる癖があり、そこで一瞬のあいだ、爪先だった脚と、まだ毛もほとんど生えていない腋の下と、日焼けした腕と、後ろにふりかぶったラケットとのあいだに、いきいきとしたバラ…

可能性と軌道

まみの白い机は夢にあらわれて「可能性」と名乗った。アイム、ポシビリティ 可能性。ソフトクリーム食べたいわ、ってゆきずりの誰かにねだること 可能性。すべての恋は恋の死へ一直線に堕ちてゆくこと/穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』 穂村…

東田直樹「夏の気分」鑑賞

僕たちは、おかしいほどいつも、そわそわしています。一年中まるで夏の気分なのです。人は何もしない時には、じっとしているのに、僕たちは学校に遅刻しそうな子供のように、どんな時も急いでいます。 まるで、急がないと夏が終わってしまう蝉のようなもので…

それは本当に優生思想なのか:「内なる優生思想」をめぐって

「優生思想」や「内なる優生思想」という語は、最近様々な意味で用いられており、ときには混乱した形での用例も見受けられる。この記事では、歴史的な使用例や近年の事例を見ることによって、①遺伝子を巡った人間の集団の改良を目的とした思想、②あらゆる障…

言葉が出なくなる

言葉が出なくなる。 言葉が出ない、とか、なんと言ったら良いかよくわからない、とか、そういうことが書かれているのを、ときどき見るし,あるいは、ぼくもそういうことを言ったり、LINEしたりする。 息苦しい気分の中で、ぼくはなんとか息を吸おうとして、…

逆照射されるドミナント・イメージ:瀬口真司「「脱出」の列へ : 塚本邦雄『日本人靈歌』論」を読んで

短歌のことがわからない。もっと言うと短歌の歴史に到っては知らないに等しいのだが、12/10に以下の論文を読んでから、評をすることの凄さみたいなものに感動して、論文を読んで考えたことを書こうと思っていた。そもそもぼくは専攻が社会科学や社会思想にあ…

遠野遥『教育』感想:「わからない」をめぐって

遠野遥『教育』を読んだ。とても面白かった。 芥川賞受賞作の『破局』が面白かったので、新しく出たこの本を購入した。あらすじをどう説明したらいいのかわからないのだが、帯文に書かれている抜粋を見れば、なんとなくわかると思う。 教育 作者:遠野遥 河出…

詩で書き起こす:インタビューの編集の一事例

まずは、次の英詩をお読みいただきたい。拙訳も付記するので英語が苦手な方は読み飛ばしてくださって構わない。 Pencilling It In The Schaefer is gone.The gold-tipped Parker'srelegated to the drawer,its decisive blackused only on checks. The felt-…

卒論、あるいはそれに紐づくものごとについて

今日、卒論を出しました。よくわからない卒論ですが、概要などを書いておこうと思います。もし万一本文を読みたい方がいらしたら、連絡をください。 「読書会のエスノグラフィ的分析」というタイトルで書いていたので、自分が社会科学関係、特に医療社会学や…

'disillusion'の訳語について

' disillusionは通常、動詞ならば「幻滅する」、名詞ならば「幻滅」と訳されることが多い。あるいは、disillusionmentと書いたとしても、基本的には「幻滅」を表すことが多い。 ところで、「幻滅」とはどのような意味であろうか。インターネットで調べること…

ファイト・クラブにおける男性性の表象

ファイト・クラブについて、「ぽかーん」という感想になってしまったので(詳しくは前のブログ記事)、もう少し分析的な文章を読もうと思ったのだが、日本語の記事ではあまり良い批評が見つからなかった。そこで、英語の勉強も兼ねて、ひとつ英語論文を読ん…