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2022/10/19
レイ・ハラカミの[lust]というアルバムは、10曲53分で構成されている。家を出るときに聞きはじめると、井の頭公園の池の周りを散策しているうちに終わり、音楽が止まる。公園のざわめきや風の音を、いつもよりしずかな気分で聞くことができる。
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仕事に用いる国家資格の試験を午前中に受けていた。有給を丸一日取ってしまったので、半日ぽっかりと休みになった。わたしは今からなんだってできる、海にも山にも行ける、と思ったが、本当にしたいことを考えたら、まずは昼寝をしたいと思ったので、家に帰ることにした。
途中でラーメンを食べた。神泉にある、うさぎというお店。
自転車置き場のラックの何番に置いたのかを、わりと写真的に覚えていることに気づく。67番だ、と思う。もしかしたら周りの人はこの回路が備わっていないのかもしれない、と思う。すこし怖くなる。
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昼寝から覚めると3時。井の頭公園に行こうと思う。レイ・ハラカミの[lust]を聞く。感情のことを考える。
歩くとき、音楽を聞いているときに、わたしは人に会いたくなる。歩いている途中に6人の友だちと、3つの土地のことを思った。
After Joy という楽曲をいつも気にしている。楽しいことがあった後のことを思う。寂しいのだろうか。どこか体の奥に通路があるような気がする。
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西日が射す公園を歩きながら、ファイナルファンタジーXにこんなマップがあったような気がした。音楽のせいかもしれない。光源のせいかもしれない。フェルメールのことを考える。
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吉祥寺のchai breakに着いた。土日は混んでいるので、有給だと空いていてうれしい。和栗のチャイと、マフィン、プリンを食べる。
隣の席の2人が、染物についての話をずっとしていた。鉄で染める色が良いとか、セイタカアワダチソウも手順を踏むとかなり綺麗に染まるとか。わたしは小学生以来染物をしていない。藍染をしたい、と思う。藍は手につくと取れない。
メルヴィルの『白鯨』を読み進める。わたしの中にクジラが兆すことを待ち望みながら、読んでいる。
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吉祥寺のジュンク堂へ行く。本当は、日本庭園についての新書が欲しかったがなかった。そういう時ほどたくさん買ってしまう。岩波新書『デューイ』『スピノザ』岩波文庫『アイヌ神謡集』『斎藤茂吉歌集』を買った。
むかし岩波文庫の表紙がいかめしく見えて好きじゃなかった。古典主義者になれなかったのはそのせいだ。
秋冬用のコートを買う。寒くならないとなかなかコートを買う気にならない。
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レイ・ハラカミの音楽を帰りも聞いていた。あまりにも良かった。受動性のことを考え、しかし何かを書いておこうと、日記を書く。