なぞる

なんか書いたやつ

右翼と左翼、あるいは下ネタについて

 
 「犬派?猫派?」「は?」
 
 
 ぼくは犬も猫も好きだし、犬も猫も嫌いな人もいるだろう。二択の質問をするときは、選択肢を反対の内容にするべきである。賛成・反対のように。この質問を考えた奴は、犬にあらずんば猫であるとでも思っていたのだろうか。
 
 
 似たような質問はいくつもあって、「きのこの山派?たけのこの里派?」や「パン派?ご飯派?」など第三の選択肢はないのか…と言いたくなる二択がこの世にはたくさんある。ぼくはこれらを「不毛な二択」と呼んでいる。
 
 
 反対の意味内容を示すように見える二択でも、どちらかを選びづらいことは多々ある。たとえば、「パートナーや友人に重視するのは外見?それとも中身?」みたいなやつだ*1。外見も中身も大事だしなあ、でもどっちかに決めないと話盛り上がらないしなあ…。そんな時に使えるのがX軸である。
 
 
 X軸??そう。あの数学で使ったX軸だ。
 
 
 外見のみを重視する人をX=+1,内面のみを重視する人をX=-1と置けば、自分の立ち位置を明確にできる。どちらかといえば外見だなーと思えばX=0.3くらいにすれば良い。
 
 
 いや、でもそれだと、外見がプラス、内面がマイナスだからなんとなく外見重視勢の方が偉そうな気がする。
 
 
 そこですごく便利なのが、外見のみを重視する人を「右翼」、内面のみを重視する人を「左翼」と表現するやり方だ。どちらかというと外見を重視する人を中道右派とでも呼べば、自分の立ち位置を明確にできる。右翼があまりにも外見重視派だったら、中道右派も左派と連立すればいい。
 
 
 なぜこれが便利かというと、右ー左という概念が、上ー下(すなわちY軸)と比べ、あまり価値判断を含んでいないからだ。まあ左大臣は右大臣より偉いし、インドでは右が吉なんだけど、現代日本語圏においてはあんまり右・左と優劣は関係していない*2
 
 
 右翼、左翼というと政治的な立場を指すのだけど、これだって、フランス革命の時の国民議会で右に保守派、左にジャコバン派(革命派)が座ったからに過ぎない。というかこの二つは本当に反対の意味なのか疑わしい。右にたけのこ派、左にきのこ派が座っているようなものだ。
 
 
 水平な直線の座標軸を使って立場を整理することはめちゃくちゃ便利だったはずなのに、政治的立場の話に独占されていてムカつく。おのれジャコバン派。もっと右翼と左翼ということばを使っていきたい。
 
 
 
 
 
 話は変わるけど、性に関する話をするとかなり真面目に話しても「下ネタ」と言われるのがなんか納得いかない。全然下品に話しているつもりがないのに、「下ネタ」と言われる*3
 
 
 下ネタの「下」が「下半身」が由来なのか、それとも「下品」が由来なのかわからないが、少なくとも「下ネタ」という表現は、対立概念として「上ネタ」が想定されているような気がする。そして「上ネタ」は「下ネタ」よりもきっと素晴らしいものなのだろう。
 
 
 なぜかぼくたちは「上」ということばに対して良い意味を、「下」ということばに対して悪い意味を含ませている。天国は上にあり、地獄は下にある。
 
 
 もし性器が上半身にあったら、性に関する話は上ネタになっていたのだろうか。その辺が気になっている。反実仮想。
 
 
 ちなみにぼくはたけのこ派の右翼です。

*1:本当にどうでもいいが、ぼくは「外見か中身か問題」にも納得できていない。どこまでが外見でどこまでが中身かわからないからだ。例えば中身論者は「優しいこと」とか「価値観が合うこと」とかを重視するが、それだって「優しい行動」「価値観が合っているように見える言動」という外見(五感)の情報によるものだ。容姿か行動かなら理解はできるが・・・

*2:出典はないので、関係しているんだ!という方がいらっしゃいましたらご連絡ください

*3:「上品」「下品」はトピックに関係しているものというよりも、トピックに対するアプローチに関係するものだと考えている。良い例えではないが、例えば貴族の話を下品に話すことも、排泄の話を上品に話すことも可能なのではないか。